『Vocal Mechanics /声の機能』の基本理念 その1

Vocal Mechanics / 声の機能

発声の悩み

発声の悩みを抱えている歌手は多いのではないでしょうか?

そしてその悩みは、シェアしづらいものかもしれません。

発声の悩みと向き合うことを遠ざけている人も多いと思います。

それは自分自身と向き合うことだからです。なかなか覚悟のいることです。

こんな悩みを抱えている人はいませんか?
・音程が定まらない
・息が続かない
・日によってコンディションが変わる
・声の衰えを感じる
・歌うとすぐに喉が疲れてしまう・練習をすると声が枯れてしまう
・歌っているとき、顔の表情や身体が硬って自然ではない
・声にボリュームがない
・声が通らない、響かない
・声に色味がない
・ビブラートが均一でない
・ダイナミクス(ピアノ、フォルテ)やアーティキュレーションをうまく表現できない
・音域によってサウンドにむらがある
・高音が出にくい ・中音域が出にくい ・低音が出にくい
・パッサージョの移行がスムーズにいかない

思いつくだけ問題点を上げてみました。

これらたくさんの種類の問題には、それぞれに明解な解決策がある、ということはありません。

 

これらの問題は、私たちの身体、咽頭(喉)が自然な機能を果たしていないために起こります。

つまり、本来の機能が歪められている、ということが原因です。

何かが足りないから、問題が起きているということではありません。

私たちには、天から平等に与えられた、『歌う』という機能が備わっています。

私たちが私たち自身の使い方を知らない、というだけのことです。

 

以前に書いたこの記事にもっと詳しく書いてあります。読んでみて下さいね。

 

私たちの体は歌の楽器として、自然に設計されたものです。

 

自然界には生態系が存在し、命が循環しているように、

私たちの体の機能も、全てがひとつで繋がっています。

 

生理学的に正しい身体の使い方を始めると、それはまるで生態系の一番最初の起点が『ポンッ!』っとよみがえるように、全ての機能に影響を及ぼしながら、まるで正の連鎖のように、身体が本来あるべく機能を始めるようになります。

 

結果として多くの問題は自然に解消されていくことになります。

今までできなかったことも、気づいたらできるようになります。

声は体の内側から、自然と湧き起こります。

リズムも、内側から湧き起こるものです。私たちの体には心臓の鼓動のような律動が存在しているからです。

自分の内からのエネルギーを、なんの滞りもなく、自由に開放することができます。

 

それだけでなく、自然な機能を取り戻していくと、

思考や生き方、在り方までもが変化します。

 

私たちの機能は全てが連動し、繋がっています。

自分自身が機能することで、私たちは自分の中に揺るぎない軸を持つことができます。

外側に答えを求め、何かに寄り掛かることで安定を得る必要もなくなります。

自分の中に力を取り戻すことによって、自分自身を信用することが1番の安心であり、心地良いことだとわかるからです。

そして、この感覚は、自分自身が機能して初めて得られるものです。

 

私たちは音楽家、歌手である以上、
自分の本質と繋がるサウンドを見つけられなければ、
生きることすらも、苦しみになります。
自分を誤魔化しながら生きることになります。
心は晴れず、いつも霞がかかったような状態に感じられるはずです。逆に、自分の本質からのサウンドを生み出せるようになると、
歌うことは喜びにあふれ、心地良く、
心は満たされ、幸福を感じることができるようになります。

 

厳しい現実と私たちにできること

残念ながら現代では、日本だけでなく世界中を見渡しても、私たちの自然な機能に基づいた発声方法は教えられていないのが実情です。

 

1800年代半ばから1900年代初頭は、数々のオペラが生まれ、『声の黄金期』と言われるほどに、多くの素晴らしい歌手が活躍した時代でした。

当時の歌手たちはみな、今とは比べられないほどに別次元に素晴らしい歌唱力を持っていました。

Youtubeなどで、かつての偉大なオペラ歌手の歌唱を聞くこともできますので、是非聞いてみて下さい。

 

今私たちが目にしているオペラは、本来のオペラからは様変わりしてしまっているのが現状です。本物のオペラなど、もうとっくに衰退してまったようにすら思えます。

 

彼らのような偉大なオペラ歌手が消滅してしまったのは、歌手を育てることのできる指導者がいなくなったからです。世界中どこへ行っても、真の歌の指導者を見つけることは、ほぼ不可能なくらいに難しいのが現状です。

そんな中、多くの指導者や歌手が口を揃えて言うことがあります。

それは、『かつてのオペラ歌手は、元々持って生まれた楽器(声)が素晴らしかったのよ。』です。

私はそれは大きな間違いだと思います。

 

彼らは指導者によって、長い時間をかけて、作りあげられたプロダクト(商品)です。決して、元々生まれ持った素質が良かったからというだけで、素晴らしい歌手になれたわけではありません。

 

現代の多くの指導者の誤りは、歌手(音楽家)から自然な本能を取り去ってしまうことにあります。型にはめるような指導のことです。

口の型、舌の位置、呼吸法など、本来、予定されている通りの働きではない、非生理学的なポジションやモーションなどがそうです。

多くの人々は、それが正しいと教え込まれています。

それを疑うことなく信じているので、上達しないのは努力が足りないからだ、才能がないからだ、声がないからだ、と思っている人も多いことでしょう。

息をたくさん吸うこと
腹式呼吸
息をたくさん流すこと
音を響かせるように共鳴させるように歌うこと
息の流れをお腹で支えること

これ以外にも、挙げたらキリがないほどに、多くの歌手が当然のように正しいと思っていることの多くが、実は、本来の私たちの自然な機能に反していることなのです。

 

そしてこれらの指導法が、一番最初に前述したような、たくさんの問題を生む元凶になっています。

だから上達しないのは、生徒のせいだけではなく、むしろ指導者のせいでもある、ということです。

 

人が機能しているとき、私たちの在り方はとても自然です。

そしてその自然な在り方は、私たちの本能と繋がっています。

 

私たちが自然に機能しているということは、

私たち自身が本能と繋がっている、ということを意味します。

 

本能は強力なツールです。

私たちの持って生まれた能力を最大限に発揮させてくれるツールです。

 

本能と繋がった状態でいるというのは、まるで、空港などにある「歩く歩道」の上を歩いているようにスムーズで軽快です。一度この感覚と繋がると、もう元には戻れないほどの、揺るぎない確信に感じられるはずです。

逆に、私たちの機能とは相反する、自然ではない働きをさせている状態は、下りエスカレーターを上ろうと、必死に逆行しているようなものです。
必要以上の労力を要する上に、とても疲れます。

 

本能というのはこれほどに強力なツールなのです。

 

だから、自然な身体の使い方を学ぶことなくしては、

音楽のこと、発声のことを語ることはできないのです。

 

私たちは、自分たちが思っている以上に、自然な体の機能を知りません。

多くの人々が、自分の中の可能性に気づいていません。

だからこそ、『自然に歌う』ということは、歌手にとっては、究極の真理なのです。

 

 

 

 

 

コメント

  1. […] 『Vocal Mechanics /声の機能』の基本理念 その1発声の悩み 発声の悩みを抱えている歌手は多いのではないでしょうか? そしてその悩みは、シェアしづらいものかもしれません。 発声の […]

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